東京不動産研究所 研究レポート
東京の住宅価格は20年で2倍、台湾ドル建てでは45%の上昇にとどまる
東京23区の中古マンション価格は、この20年で円建てでは 110% 上がったが、台湾ドル建てでは 45%、米ドル建てでは 51% にとどまる。本研究では東京・大阪・福岡・札幌の価格を台湾ドルと米ドルで計算し直し、購入した年、賃料、為替の影響を検証する。
公開日:2026-10-19
エグゼクティブサマリー
- 20年間:東京23区の住宅価格は円建て +110%、台湾ドル建て +45%、米ドル建て +51%(2005年第3四半期から2025年第4四半期)。
- 2013年以降:円建て +98% に対し、台湾ドル建てはわずか +11%、米ドル建て +4%。
- 直近5年:円建て +27%、台湾ドル建て -6%、米ドル建て -14%。
- 為替:1台湾ドルあたりの円は 3.44 円から 4.97 円になり、台湾ドルに対する円の価値は約 31% 下がった。
- 4都市(2006〜2025年):円建てで東京23区 +99%、大阪市 +195%、福岡市 +149%、札幌市 +78%。台湾ドル建てでは順に +48%、+120%、+86%、+33%。
- 賃料:REINSの23区マンションの新規成約賃料は円建て +23%、台湾ドル建て -14%。既存契約の家賃(消費者物価指数)はほぼ横ばいで、台湾ドル建て -31%。
01円建てでは2倍に、台湾ドル建てでは45%の上昇にとどまる
要点東京23区の成約㎡単価指数(2005年第3四半期=100)は2025年第4四半期に 210。台湾ドル建てでは 145、米ドル建てでは 151 である。
指数は『日本不動産データレポート』の「東京23区・20年の価格推移」と同じ系列である。国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報から、東京23区の中古マンションの四半期ごとの成約㎡単価の中央値をとり、2005年第3四半期を100とした。
換算の方法:各四半期の円建て指数に「2005年第3四半期の1台湾ドルあたりの円 ÷ 当該四半期の1台湾ドルあたりの円」を掛ける。米ドルも同様である。換算後の各四半期の数字は、2005年に台湾ドルを円に替えて購入し、その四半期に売却して円を台湾ドルに戻したとき、価格そのものがどれだけ上下したかと読める。賃料収入、税金・諸費用、両替手数料は含まない。

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成
示唆円建ての値上がりの大半は、円安で打ち消された。1台湾ドルあたりの円は2005年第3四半期の 3.44 円から2025年第4四半期には 4.97 円になった。同じ物件の円建て価格は 2.1 倍になったが、台湾ドルに戻すと 1.45 倍にとどまる。逆に、円高が進んだ2008〜2012年は台湾ドル建てのほうが円建てより高く、2012年第4四半期は円建て 106、台湾ドル建て 131 だった。台湾ドル建てのピークは2019年第3四半期(161)で、その後、円建てはさらに 30% 上がったが、台湾ドル建ては 10% 下がった。
02都心と周辺:どちらも円安で同じように目減り
要点都心5区は円建て +124%、台湾ドル建て +55%、米ドル建て +62%。周辺5区は同じ順に +132%、+61%、+67%(2005年第3四半期から2025年第4四半期)。
都心5区は千代田・中央・港・渋谷・新宿、周辺5区は足立・葛飾・江戸川・板橋・練馬である。どちらの指数もそれぞれの2005年第3四半期と比べたもので、上昇・下落の幅を見るためのものであり、価格の高低は表さない。2025年第4四半期の㎡単価の中央値は都心が 163 万円、周辺が 80 万円で、都心は周辺の約 2.0 倍である。

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成
示唆為替の影響は市場全体に一律にかかり、都心か周辺かを問わない。20年間の円建ての上昇率は両者で大差なく、台湾ドル建てでも大差ない。直近5年(2020年第4四半期以降)は、どちらも円建てで約4割上がった(都心 +40%、周辺 +38%)が、台湾ドル建てではほぼ横ばいである(都心 +4%、周辺 +2%)。
034都市:大阪・福岡は東京より上昇率が高く、札幌が最も低い
要点2006〜2025年の中古マンション成約㎡単価(年間中央値)は、円建てで東京23区 +99%、大阪市 +195%、福岡市 +149%、札幌市 +78%。台湾ドル建てでは順に +48%、+120%、+86%、+33%。
4都市とも同じデータと算出方法を使う。国土交通省の取引価格情報から中古マンションの成約を年ごとにまとめ、㎡単価の中央値をとる。福岡市と札幌市は2006年第2四半期以前のサンプルがほとんどないため、ここでは2006年を起点に年次データを使う。前節までの東京23区の四半期データとは異なるため、数字には多少の差がある。東京は23の特別区、大阪・福岡・札幌は各市のすべての区である。
価格水準は大きく異なる。2025年の㎡単価の中央値は東京23区 114 万円、大阪市 75 万円、福岡市 51 万円、札幌市 27 万円で、台湾ドルに換算すると約 23.8 万、15.6 万、10.7 万、5.6 万台湾ドルである。2012年から2025年では、円建てで東京 +96%、大阪 +175%、福岡 +157%、札幌 +93%、台湾ドル建てでは順に +11%、+55%、+45%、+8%。直近5年(2020〜2025年)の台湾ドル建ては、大阪 +16%、福岡 +12% と上昇し、東京 -6%、札幌 -5% と下落した。

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成
4都市 中古マンション成約㎡単価(年間中央値)と2006〜2025年の変化
| 都市 | 2006年 ㎡単価(万円) | 2025年 ㎡単価(万円) | 2025年 台湾ドル換算(万) | 円建て % | 台湾ドル建て % | 米ドル建て % |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京23区 | 57.5 | 114.3 | 23.8 | +99% | +48% | +55% |
| 大阪市 | 25.5 | 75.0 | 15.6 | +195% | +120% | +129% |
| 福岡市 | 20.7 | 51.4 | 10.7 | +149% | +86% | +94% |
| 札幌市 | 15.0 | 26.7 | 5.6 | +78% | +33% | +38% |
出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成。換算は年平均レート
示唆為替の影響は4都市に一律にかかるが、円建ての上昇が大きい都市は台湾ドル建てでもはっきり上がっている。大阪市の円建て価格は2006年の 2.9 倍で、台湾ドル建てでも 2.2 倍である。札幌市は円建て 1.8 倍に対し、台湾ドル建てでは 1.3 倍にとどまる。成約の中央値はその年に売れた物件の種類(築年、面積、立地)に左右され、品質調整はしていない。
04どの年に買ったかで大きく違う:4都市
要点2006〜2024年の各年に買い、2025年まで保有した場合、円建てでは4都市ともどの年に買っても損失はない(札幌市の2022、2024年購入は横ばい)。台湾ドル建てでは大阪市・福岡市も損失はないが、損失となる購入年が東京23区に3つ(2019〜2021年)、札幌市に7つ(2016、2019〜2024年)ある。
図は都市ごとに分けてあり、横軸は購入年、棒は2025年まで保有したときの価格の騰落率を表す。青・橙・緑がそれぞれ円建て・台湾ドル建て・米ドル建てである。データは第3節の年間中央値と年平均レートで、どの図も縦軸をそろえてあるため、都市どうしで高さを直接比べられる。
同じ年に買えば、台湾ドルに戻すときの掛け目は4都市とも同じで、購入年と2025年のレートだけで決まる。2006年購入は × 0.75、円が最も強かった2011、2012年購入は × 0.56、2022年以降の購入は約 × 0.92〜0.98 である。台湾ドル建ての騰落率=(1 + 円建ての騰落率)× この掛け目 − 1 で、例えば東京23区の2020年購入は円建て +25.0% なので、(1 + 25.0%)× 0.755 − 1 = -5.6% となる。
台湾ドル建てで最も良かった購入年は東京23区 2006年(+48%)、大阪市 2006年(+120%)、福岡市 2007年(+92%)、札幌市 2007年(+39%)である。最も悪かったのは東京23区 2020年(-6%)、大阪市 2024年(+9%、保有1年のみ)、福岡市 2024年(+8%、保有1年のみ)、札幌市 2019年(-9%)である。

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成

出所:国土交通省「不動産情報ライブラリ」、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成
示唆円建てではどの年に買っても損失はないが、台湾ドル建てではそうとは限らない。円建ての上昇が大きい大阪市・福岡市は、円が最も強かった2011、2012年に買っても、台湾ドルに戻して 41%〜55% 上がっている。一方、東京23区の2019〜2021年、札幌市の2016、2019〜2024年に買った場合は、台湾ドル建てで損失となる。台湾ドルで投資する人にとっては、購入時の為替レートが、その後の価格の動きと同じくらい重要である。
05賃料:新規成約は円建て +23%、台湾ドル建て -14%
要点REINSの東京23区マンションの成約賃料は、㎡あたり2005年第3四半期の 3,095 円から2025年第4四半期の 3,816 円に上がった(+23%)。台湾ドル建てでは -14%、米ドル建てでは -11% である。
データの説明
REINS(東日本不動産流通機構)は会員業者が登録した賃貸の成約をまとめている。ここで使うのは東京23区のマンションの㎡あたり平均月額賃料で、新規成約の相場にあたる。推移は下落のあと上昇である。2008年第3四半期の 3,357 円から下がり続け、2013年第3四半期に 2,830 円まで下がった。2019年第3四半期に2005年第3四半期の水準へ戻り、その後は上昇が加速して、2026年第1四半期は 3,947 円と前年同期より 8.9% 高い。これは平均値で、品質調整はしていない。成約した物件が小さく、あるいは新しくなれば、㎡あたりの平均賃料も変わる。登録件数は2005年の四半期あたり約 5,100 件から近年は約 21,600 件に増え、2025年からは登録システムも改修されている。
消費者物価指数の民営家賃は、すでに結ばれている契約の家賃を追っている。日本では契約更新の際に家賃がほとんど改定されないことが、この線がほぼ動かない主な理由と考えられている。2025年第4四半期は2005年第3四半期の 99% である(図の灰色の破線)。
総務省「住宅・土地統計調査」は5年ごとの調査で、東京都区部の民営借家で実際に払われている家賃がわかる。㎡あたり月額家賃は2003年 2,520 円、2023年 2,719 円で、20年間で +8%。うち非木造(鉄筋コンクリート造など)の共同住宅は2008年 2,803 円、2023年 2,817 円である。これも現在すべての借家世帯が払っている家賃であり、多くは何年も前に結ばれた契約で、新規成約の相場とは異なる。台湾ドルに換算すると、2003年の㎡あたり月額家賃は約 787 台湾ドル、2023年は約 585 台湾ドル(-26%)である。

出所:東日本不動産流通機構「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」、総務省統計局「消費者物価指数」(e-Stat)、Federal Reserve H.10(FRED)。上記資料をもとに東京不動産研究所作成
東京都区部 民営借家の㎡あたり月額家賃(住宅・土地統計調査)
| 年 | ㎡あたり月額家賃(円) | 台湾ドル換算 | 米ドル換算 | うち非木造共同住宅(円) |
|---|---|---|---|---|
| 2003 | 2,520 | 787 | 23.2 | |
| 2008 | 2,687 | 923 | 28.0 | 2,803 |
| 2013 | 2,490 | 733 | 24.8 | 2,620 |
| 2018 | 2,436 | 666 | 21.6 | 2,539 |
| 2023 | 2,719 | 585 | 18.4 | 2,817 |
出所:総務省統計局「住宅・土地統計調査」(e-Stat)、Federal Reserve H.10(FRED)より東京不動産研究所作成。換算は調査年の第4四半期の平均レート
示唆家賃収入も円建てである。新規成約の賃料は円建てで20年間に 23% 上がったが、台湾ドル建てでは -14% である。既存契約の家賃は台湾ドル建てで -31%。台湾ドルで投資する人にとっては、価格と同じく、賃料も為替を織り込んで見る必要がある。
06主因は為替
要点1台湾ドルあたりの円:2005年第3四半期 3.44 円、2012年第4四半期 2.79 円、2025年第4四半期 4.97 円。1米ドルあたりの円:同じ順に 111 円、81 円、154 円。
この20年、円相場は円高のあと円安に振れた。2008〜2012年は円高が進み、2012年末からは円安に転じ、2013年には日本銀行が大規模な金融緩和を始めた。2022年からは米国が利上げする一方で日本は低金利を続け、円安がもう一段進んだ。この間、台湾ドルの対米ドル相場はおおむね1米ドル=28〜34台湾ドルで推移したため、円の対台湾ドル相場と対米ドル相場はよく似た動きをしている。

出所:Federal Reserve H.10(FRED:DEXJPUS、DEXTAUS)より東京不動産研究所作成
示唆台湾ドルでリターンを見るなら、為替も合わせて計算する必要がある。台湾ドル建ての騰落率=(1 + 円建ての騰落率)×(1 + 台湾ドルに対する円の騰落率)− 1 である。20年間の例では、(1 + 110%)×(1 − 31%)− 1 ≈ +45% となる。日本の銀行から円で借り入れる場合、物件も借入も円建てなので、為替の影響を受けるのは自己資金の部分だけである。最終的に台湾ドルでいくら戻るかは、売却時の円相場で決まる。円が持ち直せば台湾ドル建ての上昇率は拡大し、円安が進めばさらに縮小する。
07データ・算出方法・留意点
データと算出方法。価格:国土交通省「不動産情報ライブラリ」の取引価格情報から、東京23区の中古マンション等の四半期ごとの成約㎡単価の中央値をとり、2005Q3を100とする(『日本不動産データレポート』2026年第3四半期号と同じ指数)。2026Q1 はサンプルが前四半期の半分しかなく、レポートでは暫定値として扱うため、本稿では使わない。換算レート:Federal Reserve Board H.10 のニューヨーク正午買いレート(FRED の系列 DEXJPUS は円の対米ドル相場、DEXTAUS は台湾ドルの対米ドル相場)の日次データを四半期平均した。1台湾ドルあたりの円=円の対米ドル相場 ÷ 台湾ドルの対米ドル相場。換算:各通貨建ての指数=円建て指数 ×(基準期のレート ÷ 当該四半期のレート)。期間の騰落率=期末 ÷ 期初 − 1、年率=(期末 ÷ 期初)^(1 ÷ 年数)− 1。家賃:総務省統計局「消費者物価指数」2025年基準、東京都区部「民営家賃」の月次データを四半期平均した(e-Stat 統計表 0004052037)。総務省統計局「住宅・土地統計調査」東京都特別区部の民営借家「延べ面積1m2当たり家賃」(共益費・管理費を含まない。2003年・2008年は「家賃50円未満を含む」、2013年以降は「家賃0円を含む」の値で、総務省の令和5年結果の概要と同じ接続方法。e-Stat 統計表は2003年 0000083853、2008年 0003009884、2013年 0003104053、2018年 0003356455、2023年 0004021522、共同住宅・非木造は2008年 0003009895、2013年 0003104065、2018年 0003356467、2023年 0004021514)。台湾ドル・米ドルへの換算は調査年の第4四半期の平均レート(調査の基準日は10月1日)。新規成約の賃料:東日本不動産流通機構「首都圏賃貸居住用物件の取引動向」(四半期、2005年第1四半期から)の東京23区マンション成約の㎡あたり平均月額賃料。各期とも平均月額賃料 ÷ 平均面積で検算した。平均値で品質調整はしておらず、登録件数の増加と2025年からの登録システム改修は前後の比較に影響する。図表は同資料をもとに東京不動産研究所が作成した。4都市:同じ取引価格情報から、大阪市(大阪府内の各区、市区町村コード 27102〜27128)、福岡市(40131〜40137)、札幌市(01101〜01110)と東京23区の中古マンション等、面積10㎡超を対象に、年ごとに全成約の㎡単価の中央値をとり、2006年を100とした。福岡・札幌は2006年第2四半期以前の成約が四半期あたり1〜14件しかないため、2006年からの年次データとした。年間の成約件数は東京23区 8,409〜15,632 件、大阪市 1,850〜4,891 件、福岡市 831〜2,108 件、札幌市 973〜1,648 件。換算は年平均レート。
留意点。価格そのものの変化だけを計算しており、賃料収入、管理費・修繕積立金、税金・諸費用、仲介手数料、両替手数料は含まない。成約の中央値はその四半期に売れた物件の種類に左右され、品質調整はしていない。レートは四半期平均で、実際に両替する日のレートとは異なる。本稿は公開データの整理と計算であり、投資助言ではない。